わたしは広島県の田舎寺院の次男として生まれましたが、小さい頃から病弱で、旧制中学もやっと卒業できたという状態で育ちました。また、父親も結核のため六歳で亡くしており、反面母親が医者の娘であったことなどから、幼いときから医療に対する関心は人一倍持っておりました。
戦前戦後のいくつかの会社勤務の後、私が直接医療に関わるようになったのは、友人の経営するマッサージ器のメーカーの手伝いをしたことからです。そこで得た技術をもとに、自分で独立して、様々な医療器の開発に手を染めるようになりました。
シンアツシンもその過程で発案したものです。ある時、知人が「梅花針」という中国の伝統治療法である「集毛針」を見せてくれて、ちょうどその頃腰痛に悩んでいたので使ってみたところ、非常に効果がったのです。
ところが、何しろ「梅花針」は自分の手に持って肌を叩くわけですから、非常に手が疲れる。針の刺激も一定にならないわけです。
そこで、私の持つバイブレーター技術を持って、この針を振動させてやれば治療も楽になるのではと考えたわけです。言ってみれば私の横着心がシンアツシンを生んだようなものです。とはいうものの、商品化するまでには、4年程かかりました。
例えば、針の本数ですが、12本に決定するまでには、それなりの試行錯誤がありました。多くすると棒のようになって針の刺激が減ります。少なすぎると痛くなります。一定の広さの皮膚を刺激して最も効果が上がるのが12本となるには時間がかかりました。12本の本数は今でも変わっていません。
私の家庭用医療器開発の基本としております信念は、「誰でも使えること」「使って気持ちの良いこと」です。家庭用医療器は使うのが難しくては誰にも使ってもらえません。シンアツシンは、針治療の一種ですが、鍼灸師のような熟練した技術は必要としません。また、治療というものは辛くては長続きしません。その点、シンアツシンは当てていて非常に気持ちが良いのです。
私自身、毎朝欠かすことなく2時間近く身体全体にシンアツシンを当てることを日課としておりますが、現在も健康を保つことができるのは、シンアツシンのおかげと信じております。